大学を卒業してからの就職は地方公務員。
父も地方公務員で、転勤族だった私は小学校の頃から2年ごとに環境が変わる生活を送ってきました。新しい土地に適応する力には自信があり、旅行好きということもあって「知らない土地で暮らすのも悪くない」と思っていました。
しかし、配属された勤務地は地元から車で7時間もかかる遠方。しかも行ったこともない土地でした。数年前に世界自然遺産に指定された場所とはいえ、知らされ方も複雑。卒業旅行で不在にしていた私に代わって、配属を承諾したのは父。帰国後、事後報告で赴任が決まったことを知りました。
無理して輪の中に入った日々
丸3年の赴任地での生活。
最後の1年は、職場仲間とご飯を持ち寄って交流したり、出かけたりと、それなりに人間関係を築いていました。けれども本当は、一匹狼気質の自分。自由に過ごしたいけれど時には人恋しくなる…。そんな気持ちは変わらずで、輪の中に入ろうと無理をしていた部分もあったのだと思います。
突然襲った胃痛
その無理がたたったのか、最後の年の冬ごろから謎の胃痛に悩まされました。
お腹がすかず、ひたすら痛みで食べられない。勤務先近くに大きな病院はなく、精密検査するには車で1時間弱。そこで人生初の胃カメラを受けました。
検査が終わった瞬間、気持ちが軽くなったのか一瞬急に食欲が戻ってきたのを覚えています。結果は「異常なし」。そして一時空腹を満たした後、痛みが再開し、薬を飲んでもなかなか治らず、1か月近く苦しい日々を過ごしました。
孤独を実感した瞬間
あまりに辛くて遠くの実家に助けを求めるメッセージを送りましたが、父は現職、母は病状が不安定。案の定「来てくれる」ことはありませんでした。ヘルプを出してしまったことに後悔を覚えました。
「仕方ない」と思う反面、なんだか切なくて。
私は結婚もしていないし、パートナーもいない。結局頼れるのは血のつながった家族だけ――。それなのに、こんな時に誰も来てくれない。そんな孤独を強く感じたのです。
胃痛が教えてくれたこと
今振り返ると、あの時の胃痛にはいろいろな要因が絡み合っていたのだと思います。
- 公務員という安定の裏にある「不自由さ」
- 地元を離れた寂しさ
- 両親と一緒に過ごしたい思い
- 語学を活かした仕事への興味
心と体が「このままでいいの?」と問いかけていたのかもしれません。
あの経験を通して、無理をすると身体にサインが出ることを知りました。そして「孤独を感じても自分で立ち直る力」があることにも気づけました。
まとめ
赴任先での胃痛と孤独は当時つらいものでしたが、今となっては大切な気づきをくれた経験です。
「~でなければならない」と無理をするのではなく、もっと柔軟に、自分の心の声を聞きながら生きていく。そうした価値観が、後の私のキャリアや生き方に大きな影響を与えてくれました。
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